公正証書とは?
公正証書は高い証拠力と強制執行力を持った公文書
公正証書とは、公証役場の公証人が作成する公文書のことを言います。”金銭の支払を目的とする債務”について作成されるが多いです。
公正証書の原本は公証役場で保管されるため、紛失や変造の虞がありません。信頼度の高い公証人が作成した公正証書に記載された内容は一般な文書より証明力が高く、裁判でも強い証拠能力を発揮してくれます。
公正証書は、裁判をして得た判決と同等の効力を有するので、金銭支払いの公正証書の場合、「約束を守らない場合は強制執行をしてもかまいません」という内容の”強制執行認諾条項”をつけておけば、期限までに支払いがないときは、直ちに不動産や債権の差押えをして、強制執行を行うことができます。
慰謝料・財産分与・養育費などの「金銭の支払いを目的とする債務」を記載した離婚協議書も、公正証書にすると強力な証拠力と強制執行力を持ち、”裁判を経なくても直ちに”強制執行ができるようになります。相手がサラリーマンであれば、給料を差し押さえることができるのです。
強制執行認諾を入れると「強制執行されないよう、きちんと支払わなければ!」という心理的な圧迫を与える効果もあります。「払わないのであれば、こちらにも手はあるぞ」と…、言ってみれば喉元にナイフを突き付けているような状態です。
圧迫を受ける方にとっては強烈な脅迫とも言えますが、大切な取決めをしたのですから、これくらいの制約は仕方ありません。
行政書士に作成代行を依頼できます
公正証書の作成手続きは、全国どこの公証役場でも可能です。(お客様の住所地は関係ありません)本来は夫と妻が印鑑証明書と実印を持って公証役場に行く必要がありますが、他の者に代行してもらうことも可能です。
事務所が作成する場合は、お客様より作成手続の委任を受け「代理人」として手続を行いますので、遠方のお客様もお気軽にご相談ください。
※公証役場に支払う公正証書の作成費用は、公正証書に記載される離婚給付金の額(慰謝料・財産分与・養育費などの金額)によって決まります。
公正証書を作成する合意ができないとき
公正証書の離婚協議書を作成するには「離婚協議書を公正証書を作成すること」に関して当事者双方が合意する必要があります。従って、当事者の「一方だけの意思で勝手に公正証書を作成することはできません。
公正証書作成の同意が得られなくても、強制執行力の無い”私文書”として離婚協議書を作成することもできます。
ただ、養育費などの金銭の支払いに関する重要な権利がある場合は、執行力のある法的書面が欲しいところですので、家庭裁判所に調停を申し立てて強制執行力のある「調停調書」の作成を目指しましょう。
なお、お金を支払う義務者側が公正証書の作成を渋ったときは、真面目に払う気がないと考えた方が良いでしょう。なぜなら、真面目に支払う気持ちがあるのなら、差し押さえを警戒して公正証書の作成を渋るようなことは、考えにくいからです。
それをあえて反対するのは「公正証書にされると困る理由があるから」と考えざるをえません。そんな場合は、最初から財産の差押えを前提に調停調書・審判書を取得するよう頭を切り替えてください。
悲しいかな、実際に差し押さえられないと状況の把握できない人もいます。そんな人をいくら言葉で責めたとて何の得もありません。最終的には実力行使です。
子供の養育費のためであれば、心を鬼にして取り立てて下さい。あなたのためではありません、子供のためです。養育費の取り立ては、子供を育てる親の義務なのです。